2016年10月8日土曜日

宇宙人の眼



深夜の鶴舞公園





「宇宙人の眼には、今の自分の状況がどう見えるのだろう・・・・・・?」




デジタル・デザインの会社で仕事を初めて4ヶ月が経ちました。


8月と9月、会社で制作したデジタルとボルダリングを融合したコンテンツを実施するため、土日に東京出張がありました。

平日の過酷な仕事を終えて、それから真夜中にチームのメンバーで機材を積み込み、東京に向けて深夜の高速を社用車で疾走していると、様々な思いが頭の中を巡りました。
「自分の個展と同じように強い気持ちで作ったこのコンテンツをついに披露することができる。」、「どんな反響があるのか?」、「これから先、自分はどこに向かおうとしているのか?」
・・・そんな思いが湧き上がり、未知なるモノへの興味や期待感は、すでに消耗しきっているはずの全身の疲れや睡魔を吹き飛ばし、不思議な感覚で運転していたことを覚えています。
夜明けには東京に着き、宿泊せずに仕事をして再び深夜には東京を発ち、休みなくまた1週間が始まる、という厳しい現実さえ一時忘れていました・・・・・・




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6歳で画家になると宣言して以来、現在に至るまでひたすらアートを続けています。プロのアーティストとして活動するようになってからは6年半が経ちます。

アートを通してこれまでたくさんの方たちと出会い、多くの素敵なご縁ができました。
アーティスト、コレクター、哲学者、キュレーター、企業人、デザイナー、評論家、ギャラリスト・・・挙げ出したらきりがないほど様々な職種、価値観、信念を持った人たち。

そうした多くの方たちから、最近よく聞かれることがあります。
「なぜデジタルの世界に足を踏み入れたの?」、「新しい仕事の環境はどう?」
多くはこの二つに絞られます。
そこで、近況報告もかねてこの約4ヶ月の間に経験し、学び、感じたことを簡単に書くことにしました。




私がデジタルの世界に入った理由は、アートとデジタルを融合し新たな表現を生み出すためです。

そして、環境が変わり強く実感したことは「アートとデザインは多くの点で対極にある。」ということ。

アートは孤独です。
アートの世界では多くの場合、「作家の死後、100年後、200年後・・・1000年先の未来まで、歴史に残る作品を創造できるか」というところに価値が置かれます
私もその一点にこだわり、創作を続けています。後世に残った作品は、必ず美術史の中に位置付けられます。とてつもなく長い時間軸を見据えた孤独な創造に、アートの哲学があります。

アーティストは常に、世界や社会、組織の常識・固定観念に疑いや問いを持ち、創作を続ける生き物です。
「世の中の当たり前」に対して、作家独自の視点で切り込み・作品化させ・提示することに全身全霊を傾けて挑み続けています。

一方デザインには、今、目の前に存在する多くの人たちに対して、素早く確実にわかりやすく伝える事ができ、何らかの実利を生み出す、というポテンシャルがあります。情報整理を肝とするデザインならではの強みです。

時間に対する価値観、伝わる速度、内容の複雑さ、思考の深度やプロセス・・・どれもが対照的に思えます。




デジタル、デザインの領域にとって完全に「異物」である自分を採用することは、会社にとって相当思い切った決断であったのだろうと想像されます。
「デザインにアートをとり入れる」という役割を託されて、私の挑戦の日々が始まりました。



当初、デザインのことを知らない自分がどこまで言っていいのかという迷いもありましたが、アートの視点をチームに伝えることを根気強く続けていました。しかし、アートを知らない人たちにアートの視点や価値を理解してもらうことの難しさは計り知れないものがありました。

そこで、この数ヶ月、私は会社の中ではとにかくデザインの方向に振り切った形で仕事をすることに徹してきました。まずは私が一時的にアートを封印し、徹底してデザインとチームに歩み寄る、というスタンスが今は必要だ、と考えたからです。
25年かけて積み上げた自分の武器を完全に封じ、丸腰で未知の分野に挑み続けることは、無謀であり、想像を絶する辛さがありますが、同時に、予測不能な窮地を乗り越えていく面白さもあります。



次々与えられる仕事に終電まで打ち込んだり、さらに持ち帰った仕事を徹夜で仕上げたり、そんなことを繰り返す日々は超ハードです。ちなみに、実質の残業時間はとてもじゃないですが人には言えません。

かなりタフな私でも、過労で体を壊すこともありました。それでも、「新しい表現への欲求や興味」がそれらを上回ることで、この数ヶ月、思い切りデザインに没頭することができているのだと思います。

アートの世界だけにいたら知り得なかったであろう数々のデザイン、技術、情報をひたすら浴び、吸収する日々は、スリリングで新鮮です。まだまだ興味は尽きません。




それからもう一つ、私にとって未知だったことは、「組織の中に自分の身を置く」ということです。そして、チームでの制作です。
もちろん、組織やチームの中で自分の信じること・求めるものを100%表現しきることは到底不可能です。当然、様々な制約が生まれます。しがらみも存在します。調整の連続です。
「一人の創造」とは異なる「複数人の化学反応による制作」、そこに難しさと可能性があるのだと思います。
その可能性を信じて、私は今の会社に入りました・・・


私はこれまでずっと一人で創造を行ってきました。アートの創造は孤独であり、豊かです。全てを一人で背負うからこそ自由を獲得し表現することができます。そこにはしがらみも妥協も存在しません。切なさと静寂と苦しみと共に生み出された作品には、自分の血肉を分けた分身のような愛おしさが宿ります。そうして、私のよく言う「売りたくない作品」が生まれるのです。

そんな私が、チームでの表現にこれまでとは別の可能性を見出したのは、25年、孤独と共に創造し続けてきたからこそのものです。


今、私は個人のアーティスト業と、組織・チームでのデザイン業を並行して行っています。
今のところ、その二つは平行線です。様々な理由がありますが、アートとデザインが交わる兆しは皆無と言えます。
果たして本当に、二つが交わることはあるのか?


アートを軸に生きていくことは、これからも絶対に変わりません。

私の軸はあくまでもアートにある。
孤独な創造こそ、私にとって最も意味のある行為です。生涯をかけて追求していくことに迷う余地などあり得ません。
そこにどのようにデジタルを加えることが最善なのか?あるいはそもそも必要なのか?


これから先、自分はどこに向かうのか?

日々、問い続けています。



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私は今、新たな環境で、様々な意味において貴重な経験をすることができ、それらが自分の中に蓄積されていくのを感じています。

ここで感じたこと、得たこと、全てが強い実感の伴った創作の糧となり、いずれ"Alien Vision"として「宇宙人の視点」で作品化し、社会に提示していきたいと考えています。



宇宙人の眼には果たしてどのように映るのか・・・・・・?






Alien Vision 書き下ろし漫画シリーズ 4P ©ISHIYAMA Hiromichi







2016年9月10日土曜日

イリュージョン



「イリュージョン」 2016 板、白亜地、油彩 33.333.3cm ©ISHIYAMA Hiromichi



装幀画展 〜 16人の作家による文学とアートの出逢い 〜

会期:2016年10月15日(土)〜26日(水)
時間:12:00〜19:00  定休日 / 木・金
オープニングパーティー:初日17:00〜
会場:Cafe & Gallery ミュゼ 
金沢市柿木畠3−1(金沢21世紀美術館より徒歩1分)
http://archive.artgummi.com/gallery/musee


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金沢で開催される装幀画をテーマにした展覧会に出品します。

画家が好きな文学作品を選び、その装幀用の原画を描き展示する、という企画です。

私は、飛行家でもある作家リチャード・バックの書いた「イリュージョン」を選び、絵を描きました。子どもの頃、「かもめのジョナサン」をきっかけに彼の描く物語に強く魅了されるようになり、この本に出会いました。「イリュージョン」は2人の飛行家が登場する不思議な物語です。

「世界は幻影にすぎないのか?」・・・そう問いかけるこの本とともに、渾身の絵画を楽しんでいただければ幸いです。


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本展は金沢アートスペースリンクの一環として、会期終了後11月3日〜12月4日に金沢アートグミでも展示されます。
会期中は、どこかで金沢を訪れる予定です。







2016年8月15日月曜日

二つの展覧会





二つの展覧会に出品します。



50名の作家による展覧会「50の顔」では、ポートレイトの作品群「Untradition」の節目となる新作1点を展示します。



一方、山本冬彦氏推薦の展覧会では、初公開となる作品群「あいまいなほし」を中心に展示します。液状に溶かした油絵具の滲みを発生させ、白亜地に染み込ませることで、偶然性から生まれる超細密な風景をつくり出しました。そこに、わずか数%の細密描写を加えることで、俯瞰と至近距離など鑑賞位置により表情を変え続ける不思議な絵画に仕上げています。

繊細な画面は写真では伝わりません。ぜひ実物でお楽しみ下さい。




「Untradition 10」 2016 板、白亜地、油彩 41×41cm ©ISHIYAMA Hiromichi 







50の顔 Vol.2

会期:2016年8月23日(火)〜9月4日(日)
時間:12:00〜19:00
休廊日:日・月 9月4日は開廊   
会場:REIJINSHA GALLERY、東京
http://www.reijinsha.com/r-gallery/69_50faces.html
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「あいまいなほし2」 2015 板、白亜地、油彩 22×27.3cm ©ISHIYAMA Hiromichi







金の美大展覧会銀座ジャック2016
山本冬彦推薦の金沢美大出身作家展

会期:2016年9月7日(水)〜14日(水)
時間:11:30〜19:00(日曜日〜17:00、最終日〜16:00)   
会場:GALLERY枝香庵、東京
http://echo-ann.jp/exhibition.html?id=275
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2016年7月30日土曜日

シン・ゴジラ






平日はデザインの仕事、平日深夜〜明け方と土日はアートの仕事が忙しすぎてプライベートが皆無な状況だけど、12年待ち続けたゴジラだけは観ると決めていた。

着ぐるみとCGのハイブリットによる特撮ではない点と、フルCGによるクオリティーの是非は横に置くとして、伊福部音楽の使い方や、過去28作の文脈を踏まえた脚本・画作りがゴジラファンを奮わせる。今、ゴジラを作ることがいかに難しいか。そこに真っ向から挑んだ作品。初代から平成シリーズにどっぷり浸かり、その後のミレニアムシリーズに絶望し、ガメラ3以来の本格的な怪獣映画を待望し続けたファンにとって、紛れも無いゴジラの1作として復活を果たしてくれた。

しばらく休止していた怪獣彫刻の制作を再開したくなってきた。すでに完成した頭部だけで高さ3m、重量100kgもあるので、全身化するための構造計算の再考が必要。




「超世壊怪獣1<頭部>:Alien Vision 10」
2014 FRP、Paint × Sculpt、日本色タブロー、ガンコラ、Oil sculpture 他 318×224×224cm
© ISHIYAMA Hiromichi Photo:Matsubara Yutaka



2016年6月4日土曜日

ACT ART COM - アート&デザインフェアー2016 -



Earth Girl : Bulge
2016 板、白亜地、油彩 31.8×41cm ©ISHIYAMA Hiromichi Photo:MATSUBARA Yutaka



ACT ART COM - アート&デザインフェアー2016 -

会期:2016年6月16日(木)〜6月19日(日)
VIPオープニング:6月16日(木)16:00〜20:00
一般会期:
6月16日(木)11:00〜15:00
6月17日(金)11:00〜20:00 
6月18日(土)11:00〜20:00
6月19日(日)11:00〜17:00   
会場:The Artcomplex Center of Tokyo
http://actartcom.com/2016/exhibitor.html

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この度、山本冬彦氏のコレクターズブースで作品を展示します。
新作のペインティングを中心に、立体数点と漫画を含めた構成になります。

今回更新される「Alien Vision 書き下ろし漫画シリーズ 25P」では、雪男と宇宙人つのぴー、そして不屈のボクサー モハメド・アリ氏が登場します。




"Alien Vision 書き下ろし漫画シリーズ 25P"<部分> ©ISHIYAMA Hiromichi


雪男は、物語のキーになっていく登場人物の一人です。
元は優秀な彫刻家だった彼は、やがて芸術に絶望し人間であることを捨てて雪男になりました。すでに人間の言語をも放棄している彼は、5つの脳を持ち、ロッキー山脈で暮らしています。一切の言葉を発さない雪男は、漫画の中でも会話はもちろん表情も無く心理描写も皆無なため心情を読み取ることは困難です。そんな彼の身に、今回あることが起きます。



アリ氏を描いた漫画と立体を準備する中、昨日、彼が亡くなっていたことを先ほど知りました。強く感情を揺さぶられています。偶然か、必然か、芸術の世界に身を置いていると、時折こういうことが起こります。このようなタイムリーな形になってしまったことが非常に悲しくてたまりません。
リングの中でも外でも生涯戦い続けた彼への心からの敬意と哀悼の意とともに展覧会当日を迎えたいと思っています。





Untradition 7 : Holy light
2016 板、白亜地、油彩 53×53cm ©ISHIYAMA Hiromichi Photo:MATSUBARA Yutaka