2014年5月20日火曜日

率直な感想 後編 @エイリアン博物館






率直な感想、後編です。



<後編 お客さんとの質疑応答の様子/本展の特異な点/自分の率直な感想>

開催中の「エイリアン博物館」は、来場者の多くがいわゆる美術の玄人とは異なる一般の方々です。
そこでまずは、老若男女さまざまな来場者のみなさんから会場で直接受けた作品への質問やその回答、感想、反応の様子などを書きます。
※【 】内はお客さんとのやり取りで感じたことなど・・







お客さんA(20代女性) 「宇宙人 つのぴー可愛いですね!つのぴーの頭の赤い▲の印は何か意味があるんですか?」

石山(以下、石) 「つのぴーは基本的に自分のツノを長く伸ばしたいと思っていて、赤い▲は"ツノが長く伸びるおまじない"です。」

お客さんA 「えー?でもエイリアンはみんな体を変化(メタモルフォーズ)できるんですよね?ツノは伸ばせないんですか?」

 「ツノだけは伸ばせないんです。彼らにとってツノは心臓のようなもの。」

お客さんA 「赤い▲じゃなくて↑が付いてるつのぴーは?」

 「もっと長くツノを伸ばしたがっているつのぴーです。さらに、彼らには色々と好みがあって、ツノをまっすぐ伸ばしたいつのぴーとカーブを描きながら伸ばしたいつのぴーがいます。」

お客さんA (爆笑)

お客さんA 「エイリアンはどうやって増えるんですか?子どもを産むんですか?性別はありますか?」

 「性別はないです。地球で言う"想像妊娠"みたいなものです。イメージすると本当に生まれるという。」

お客さんA 「それはすごくエイリアンぽいですね!染色体がどうとかじゃなく、地球の常識とは全くちがっていて、つのぴーにピッタリ。」

お客さんA 「しゃべるつのぴーもいますよね?」

 「みんなしゃべります。」

お客さんA 「みんなしゃべるんですか!あとちょっとひねくれ者もいたり、好みがあったり、エイリアンだけど意外と人間臭いですね!細かくキャラクターが設定されているから想像がどんどん膨らむし、世界観が完成されているのでどんどん引き込まれます。」

 「一つ作るとそこからまた新しい発想が生まれて、妄想の連鎖で次々にイメージが出てきます。」

お客さんA 「漫画の物語も続きが気になって、またこの先が読みたい!」







お客さんB(20代男性) 「つのぴーってみんな凄い年齢ですね。宇宙より長いなんて・・。」

 「つのぴーたちエイリアンはこの宇宙の外側から来た存在です。」

お客さんB 「あーそっちの説(多元宇宙論)を採用してるんですね。エイリアンの墓標(キューブ)は何の物質でできてるんですか?」

 「地球上には存在しない物質です。イメージは光のように実体がなく、触れることができない物質。」

お客さんB 「墓標の大きさは色々あるんですか?つのぴーたちも色々な体のサイズがいるので。」

 「そうです。それぞれの体の大きさに合わせたキューブに埋葬されます。」

お客さんB 「こっち(画像右)は結晶ですね!これって勝手にキューブの形になるようになってて、穴とか欠けてる部分があると自然と形を補い四角くなるようになってるんですよね。これとエイリアンの墓標が同じ形になってるとは。」

 「偶然ネットで見つけました。」

お客さんB 「え?ネット?何でもありですね! このCGみたいな絵(画像下)のキューブは描いてる時もやっぱり楽しいものなのですか?」

 「いや、かなり面倒くさいです。最高に興奮するのは、アイデアが閃いた瞬間と完成した時だけです。最初はすべて線で描きますが、その状態で画面を見ているとこれを仕上げるのか、とゾッとする時があります。」

お客さんB 「さっきから"ネット"とか"面倒くさい"とかアーティストからそのような言葉が聞けるとはかなり意外で面白いですね!画家が何を考えて描いているのか、ふだん自分たちには想像もつかない部分ですからね。」







ゆーほーん2号/がんがん1号/つのたろう7号


お客さんC(小学生) 「"ゆーほーん"が欲しい。"がんがん"も欲しい。ガンプラを使ってる!欲しい!」

お客さんD(C君のお母さん) 「私はこのつのぴーが好き。」

お客さんC 「これ"つのたろう"だよ!ツノが2つ付いてる。この("がんがん"の中の)"つのぴー"の後ろにいるのは、つのぴー41号のペット?」

 「そうだよ。」

お客さんD 「つのたろうの"たろう"は岡本太郎の"たろう"ですか?」

 「ウルトラマンタロウの"たろう"です。」

お客さんC 「エイリアンは何か食べる?」

 「食事はしないです。彼らは"油絵具"がエネルギー源で、自分の体の中から絵具をつくり出して絵を描きます。」

お客さんC 「このキノコも絵具だ!あっちのプラットホームにもある!」


【 子どもはすぐにエイリアンのキャラクターを細かく暗記して、漫画も読んで世界観を理解しのめり込んでいく姿がとても印象的です。つのぴーの何号がどこにいるのかすぐに発見したり、作品の意味を真剣に考えたりする姿を見ていると、子どもの観察眼の鋭さと固定観念のない思考の純粋さは、時に大人のそれをはるかに凌ぐのかもしれないと感じずにいられません。質問も矢継ぎ早に飛んでくるし、とにかくテンポが速い。】






【 上の画像は「Alien Vision 9:Earth Boy:千年スーツ」という作品で、人間の子どもが現代を生き抜くために千年の寿命を得ることができる宇宙柄のスーツを着て立っている、という作品です。
会期中に来てくれた小学生たちがこの作品を見て、「千年か・・千年も生きるのは嫌だな。」と話していたり、また別の子は「自分は千年間生きてみたい。」と話していたりしたそうです。
今までこの作品を見た大人の方の反応は、「子どもなのになぜこんな険しい表情をしているの?」「どうして子どもらしい可愛い表情じゃないのか?」という意見が多かったのですが、子どもの感じ方はまた違うみたいです。

この作品は「現代のこの世界を千年生き抜く」という使命を帯びた少年の像です。小学校の子どもたちがこの少年「アースボーイ」自身と同じ目線でこの像を見つめて神妙な様子で言葉を発していた、ということに驚いたし、また非常に嬉しく思いました。】






お客さんE(20代女性) 「つのぴーのブログ見てます。赤い手袋をしたつのぴー11号が好きです。今回は展示されてますか?」

 「展示してます。探してみてください。」

(そしてEさんが発見・・)お客さんE 「片方だけ手袋をはめるファッションがつのぴーの間で流行ってるんですよね!めっちゃかわいい。あとつのぴー7号も好きです。」

 「7号は、全身が金と銀の色だけで彩色されたゴージャスなファッションです。10号とか、20号とかゼロナンバーのつのぴーはみんな7号のファッションに憧れているので、金銀2色だけのファッションを真似しています。」

お客さんE 「ファッションリーダーですね。憧れたり真似したり、宇宙人も意外と人間臭いところが面白い。双子もいたり、関係性がかなり複雑ですよね。」






お客さんF(50代男性) 「漫画を読んだけど、地球誕生から現代まで一気に物語が展開していて、その間ずっとエイリアンたちは地球を観察し続けていて、エイリアンたちの体感速度は人間とは全然違うのでしょうか?」

 「人間とは違いますね。地球の歴史は46億年ですが、何十億年という時間をごく短い時間で凝縮して体感することもできれば、人間と同じくらいゆっくりと時間を体感することも可能です。彼らは体感速度を自在に調節できます。」

お客さんF 「なるほど。移動速度は?」

 「光より遥かに速いです。例えばこの"つのぴー40号"は金星に住んでますが、時々地球に来て海水浴をしています。地球と金星は似ている部分が多い惑星ですが、彼にとって地球より高温な金星はサウナ、地球は水風呂、という感覚なんです。」

お客さんF 「人間とはスケールが違う。宇宙が家なんですね!」






【 一般のお客さんは次々に作品について質問をされる方がたくさんいます。そしてどれも短いセンテンスでシンプル、具体的な質問が多いのが特徴です。

ふだん東京などで展覧会をしていると、来場者の多くは美術関係者になるので、今回一般の方から飛び出てきたような具体的な質問は意外と少ないものです。みなさん専門家なので、質問にしても感想にしても「ヘタなことは言いたくない。」「何か深いことを言わなくては、」という心理が働くのか、案外 抽象的なことを言われることが多いです。
(ちなみに、僕のいた美大では講評会の時に一人ずつみんなの前で作品を批評されるのですが、先生達が互いに牽制しあってなかなか誰も言葉を発さない無言の時間がまずある、というのが日常でした。異様な光景ですが、玄人としてのプライドや美術の知識、理屈などによって感性や発言にブレーキがかけられてしまう部分もあるのかもしれません。)
抽象的な言葉のやり取りは、一時的に高尚な対話をしている気分になったとしても、話題の核心が曖昧なために結局そこからは何も生まれてこない、ということがよくあります。


今回出会った一般のお客さんや、玄人であっても率直に質問や感想をぶつけてきてくださる方たちとのやり取りの方が、作家としては得るものがずっと大きい、ということを実感しています。
シンプルで具体的な質問には、回答も具体的なものが求められるのでごまかしがききません。自分が想定していなかった思いがけない所を突いた質問もたくさん受けました。作品の生みの親である自分の口から出る回答がすべての公式設定になるので、緊張感があります。今回、次々に飛び出てくるそうした質問に対して一つひとつ考え、答える、(時にはお客さんと一緒に考えたり)という対話を続ける中で、"Alien Vision"の世界観の構築や様々な設定がより細かく、深く、濃密なものになってきている点が非常にスリリングで面白いのです。】








お客さんG(70代女性) 「こんな展覧会は初めて見ました。ふだん志摩でこういうアートは見られないから、展覧会をしてくれて本当に良かった。私は素人だから美術のことはわからないけど、見ていて本当に感動しました。」「やっぱりふだんは東京で作品を発表されることが多いのだと思いますが、数年に1回でもいいからまたぜひここでやってほしいです。」






お客さんH(母と娘の親子で来てくれたお二人) 「完成されたエイリアンの世界に入り込んでしまう。夢に出てきそうです。」「漫画を読んだり、作者の説明を聞いたりするとより世界観がわかり、すごい引き込まれていく。浩達君の中にはこのエイリアンたちがいる。」「本人も宇宙人かもしれない。」






お客さんI (40代男性) 「つのぴーのブログ全部読んでます。僕も3体つのぴーを持っているので、漫画やブログにいろんなつのぴーが出てきて、作品の世界に自分も参加しているような気持ちになります。」 
ブログ「宇宙人 つのぴー」http://ameblo.jp/tsunopie/






そして、こんな素敵な贈り物を持ってきた下さった方がいます!消しゴム版画作家、大平佳子さん作 "つのぴー89号"のハンコです。展覧会を見にきてくださったある方が大平さんに依頼して作られた作品で、消しゴムでできています。さりげないラインの一つひとつが美しくもあり、ユーモラスでもあり、その絶妙な感じがとても気に入っています。宇宙人つのぴーが少しずつ一人歩きを始めたような不思議な感覚です。
http://www.yoshikogummi.com/


「リミックスがうまいと思います。過去に別の場所で見た作品でも、展覧会毎に違って見えて、何度見ても見飽きることがない。」というお話をされていたのが特に印象深いです。

いつも作品を楽しみに展覧会を継続して見に来てくださる方々の反応を知ることは、次の作品の展開をつくる上でも非常に重要なことだと思っています。






お客さんJ(20代男性) 「自分は"光"じゃないな。日々の色々なものに流されている"脱力系"だと思う。」
アップで描かれ"光"を放っている子どもの絵画「Lightning」と、俯瞰した視点から小さく横たわる姿で描かれた"脱力系"の大人たちの絵画「紫の星」。その関係性をすぐに理解した彼は、「"脱力系"の大人をアップで描いた作品が見てみたい。」と言っていました。
【 今まで専門家からもなかったその鋭い視点と提案に痺れました。これは今後作品化せずにはいられません。】






お客さんK(60代男性) 「俺は宇宙人と会ったことがあるんだけど、今日は畑仕事をしてる時にたまたま新聞記事で展覧会のことを知って、"これは見ないと!"と飛んできた。こりゃあ面白い!すごい!」

 「宇宙人の外見はどんな感じでしたか?」

お客さんK 「人間と変わらないよ。畑で会っていろいろ聞いたんだけど。」

 「会話は成り立つんですか?」

お客さんK 「成り立つ。彼(宇宙人)は東京に住んでて、新幹線でこっちに来てるらしい。ジャガイモが好きでポテトチップスをよく食べてる。」

 「ジャガイモが主食ですか。」

お客さんK 「そう。これ表面がいいね!何で作ってる?」

 「チェーンソーとカッターで削ったスタイロフォームにFRP(プラスチック)を貼って車の塗装をしています。」

お客さんK 「この色は?」

 「トヨタのホワイトパールです。いろいろな駐車場で片っ端から車を見て、どのホワイトパールがいいか決めました。その上から油絵具で色をつけています。」

お客さんK 「あなたはこういうものを作っちゃう人だし、間違いなくこの先宇宙人と出会うだろうね!」

【 「畑からそのまま展覧会に来た。」とご本人が言うように、泥だらけの長靴とつなぎ姿で現れ、目を輝かせて作品を見るその姿がうれしかったです。】




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まだまだ書ききれないほど濃密なやり取りがあるのですが、このくらいにしておきます。


また、会場の歴史民俗資料館の方々がブログ「宇宙人 つのぴー」をもとに、「つのぴーを探そう!」というクイズを率先して行われている点や、作品一つひとつの意味やキャラクターの設定、ストーリーなどを熟知され、お客さんに説明している様子も印象的です。

展覧会の並走者の人たちが、「自分の作品を細かく正確に理解し、それをお客さんに伝えるためにできる限りの工夫を凝らす。」という姿は、作家にとってとても幸せなことだと思います。
業界のプロ顔負け(?)の熱意あるその姿勢に僕もパワーをいただいています。




都会でもなく、ホワイトキューブでもないこの不思議な資料館の空間で、様々な「面白いこと」が起きています。



 




2014年5月18日日曜日

率直な感想 前編 @エイリアン博物館






現在、志摩市歴史民俗資料館で「石山浩達展 エイリアン博物館」が開催中です。予想以上に様々な「面白いこと」がこの展覧会で起きているので、その率直な感想を書きます。

かなりの長文になると思うので、下記の二部構成のブログにします。

<前編> エイリアン博物館についての解説
<後編> お客さんとのスリリングな質疑応答の様子/本展の特異な点/自分の率直な感想





<前編 エイリアン博物館についての解説>

作家としての手の内の一部を明かすような記述になりますが、今回はなるべく詳細に解説してみようと思います。

この展覧会は、宇宙人「つのぴー」をはじめ様々なエイリアンたちが陳列ケースに並んだ異色の内容です。会場には「つのぴー1号」〜「つのぴー100号」、さらに「つのたろう7号」や「ゆーほーん0号」といった様々な宇宙人が60体くらい登場しています。
作品の形態は、絵画や立体、漫画、インスタレーションなど様々です。

作品のメインコンセプトは、"Alien Vision"(46億年前から地球を見続けるエイリアンには、人間の姿がどのように見えているのか?)です。
絵画(エイリアンが見た地球と人間の姿)+立体(エイリアン)+漫画(エイリアンと宇宙の物語)で構成される"Alien Vision"の世界観はあまりにも壮大で、その物語と世界観は日々拡張され続けています。"Alien Vision"の全てを一つの展覧会で見せることは到底できないため、いつも展覧会ごとに"Alien Vision"のどこに焦点をあてるのかテーマを決めるようにしています。

本展のテーマは、「エイリアンの生態と死」です。これまで以上にエイリアンそのものにスポットがあたり物語が展開される点が大きな特徴です。





「エイリアン博物館」は、新作11点、旧作数十点、個人のコレクション4点で構成されています。今回はふだん現代アートとは無縁の一般の来場者が大半になるため、鑑賞の敷居を下げる狙いで作品の詳細な解説文を会場に設置しました。作品鑑賞とあわせて解説文や漫画を読むと、新旧織り交ぜた絵画、立体、漫画(2008年〜最新作まで)が複雑に絡み合う世界観の全貌が次第に見えてくる会場構成になっています。

もちろん「解説文は面倒くさい。読む気にならない。」という方もいると思います。展覧会にもよりますが、僕もキャプションの解説部分を読まずに鑑賞することが多いです。当然、鑑賞の仕方なんて十人十色、無限にあっていいと思います。本展では、そんな「面倒くさい」という方やそもそも「現代アートがわからない」という方にも、作品の造形のみを純粋に味わって興奮できるような作品をセレクトしています。

また、"Alien Vision"の展覧会をいつも見に来てくださる方々や、いわゆる玄人の方々にも心を揺さぶっていただけるよう、「エイリアンの死」というこれまでの物語から地続きであり尚且つ新たな展開をつくり、作品を読み込むほどエイリアンの様々な謎や作品世界の核心に迫っていけるように構成しました。

そのため、この展覧会に順路はありません。



ではここからは、具体的な作品について解説します。


【scean1】


4種類のエイリアンが存在し、それぞれ「つのぴー」「つのたろう」「ゆーほーん」「がんがん」という名前があります。各個体には◯◯号という番号が付いていて、画家、飛行家、写真家、宇宙温泉経営者、スケーターなど様々なエイリアンがいます。最も数の多い画家のエイリアンたちは、自身が見た地球と人間の姿を油絵具で描くことで対象を認識します。
全てのエイリアンには年齢、生息地、性格、職業など細かい設定があり、本展ではその一部を解説文で紹介しています。
(立体の素材は、FRPや石粉粘土で成形し、トヨタ自動車のホワイトパールで塗装。さらに、油絵具で彩色しています。技法名:日本色タブロー)


※各作品の解説は本展のキャプションの原文のまま記載します。



つのぴー11号
年齢:149,198,234,123,487,808,147歳
生息地:アンドロメダ銀河
好きな色:カドミウムレッド
皮膚の色:ホワイトパールクリスタルシャイン

凛々しい顔立ちと右手の赤い手袋がトレードマークのつのぴー。
ユーモアのある性格を持つ。つのぴー7号とは腐れ縁だが、
主な活動領域は異なりアンドロメダ銀河で生息している。




つのぴー49号
年齢:149,197,127,006,986,619,967歳
生息地:アンドロメダ銀河
好きな色:ピーチブラック
皮膚の色:ホワイトパールクリスタルシャイン

つのぴーの中ではやや口が悪く反骨精神が強い。"海水パンツ"
と呼ばれる人間たちの存在に注目し、観察を続けている。




ゆーほーん0号

ビッグバン以前、7垓3千京年以上前から生き続ける最古のゆーほーん。
変容を続けるその体には様々な姿の千手観音菩薩が映し出されている。
(2011年 スタイロフォーム+シルバー塗装、白亜地、油彩
他にも「つのぴー0号」などエイリアンの0号はみんなシルバーの皮膚を持つ。)



プラットホーム:ちきゅー

宇宙の停車駅の一つ「ちきゅー」。宇宙を旅する様々なエイリアン
たちが行き交う場所だが希に特別な力を持つ人間が現れることがある。
(2013年 FRP+ホワイトパール塗装、油彩)



Earth Boy

地球を体の一部に宿した少年。人間には普通の子どもにしか
見えず、エイリアンのみがその真実の姿を知っている。
(絵画の素材は、古典技法=板+白亜地+油彩を使用。描画は筆描き。)




Earth Girl

地球を体の一部に宿した少女。人間には普通の子どもにしか
見えず、エイリアンのみがその真実の姿を知っている。
(2013年 板、白亜地、油彩)



海水パンツ(?)

至る所に姿を現す海水パンツのヤツラ。
大人でも子どもでもなく、その存在はエイリアンにとっても不可解。



また、最近始めたブログ「宇宙人 つのぴー」では「つのぴー1号」から順番にそれぞれの生息地や性格などマニアックな情報が紹介されています。この展覧会と連動した内容になっていて、少しずつ更新中です。ブログを見つつ、この展示を楽しむお客さんも多数います。
ブログ「宇宙人 つのぴー」http://ameblo.jp/tsunopie/



Lightning

宇宙からエイリアンが見た地球と人間の子どもの姿。
子どもは眼から強烈な"光"を放っているように見える。
(2010年 キャンバス、白亜地、油彩 227.3×181.8cm 大学の卒業制作。17歳で訪れたラスベガスのカジノやコーラの店、海賊のショーの爆炎、19歳のヨーロッパの旅で訪れたガウディの建築、スペインの市場、ユダヤ博物館の窓、さらに銀河や惑星、人工衛星、宇宙飛行士などから発せられる様々な"光"、そして2千個以上のキューブ=エイリアンの墓標などが4点透視図法で濃密に描かれている。実は自画像でもある。)



【scean2】

永遠の個

エイリアンが見た時空世界。人間の叡智、希望、欲望、美意識によって生み出されてきた「個」である車は、エイリアンの墓標=キューブと共に、宇宙の時空に刻まれている。
(2009年 板、白亜地、油彩で制作した初期作品。CGやエアブラシは使わず全て絵筆で描画している。約2千個ある立方体は、4点透視図法で描いている。消失点は遠方、左右、下方の4点。162.1×162.1cm)



Cube

宇宙の歴史(137億年)よりはるかに長い寿命を持つエイリアン
たちにもやがては死が訪れる。エイリアンの化石は長い年月を経て
キューブの墓標に包み込まれ、宇宙と一体になる。
(2008年 紙 アクリル 17×18cm 今回の出品作の中で最も古い。)



つのぴー100号

エイリアン(宇宙人)「つのぴー」の100号。
主におとめ座超銀河団で生息している。「つのぴー」の中でも特に長いツノを持っている。宇宙の様々な現象「いかづち」「ちょうしんせいばくはつ」「ほしのたんじょう」などに関わる神秘的な力を持つと言われている。
宇宙空間で墓標の川に遭遇し、埋葬された仲間たちを見送る。




【scean3】

この展覧会の最も重要なセクションで、会場中央の陳列ケースに配されています。最新作の「エイリアンの化石」や「エイリアンの墓標」が展示され、これまで謎に包まれていた「エイリアンの死」の片鱗に迫る内容になっています。


エイリアンの化石:572,309,715,628,007,351,428年前

エイリアン(宇宙人)「つのぴー0号」の化石。長い間、宇宙を
漂い続けていたが、つのぴー80号たちにより発見される。
(2014年 フレスコ画 本展のためにフレスコで制作された最新作。油絵具、テンペラ、アクリルなどと異なり接着剤<油、卵、アラビアゴムなど>を用いず、水で溶いただけの顔料で描画され、数千年規模の保存が可能。例:ミケランジェロ「最後の審判」等)



エイリアンの墓標

「つのぴー0号」の化石が長い年月を経て埋葬されていく。化石を包み込むキューブはエイリアンの墓標となり、時空世界に刻まれる。
(2014年 板、紙、ペン、色鉛筆
絵具至上主義の美術界において過小評価されている「色鉛筆」
でタブローを描く、という裏のコンセプトも含まれた作品。)



【scean4】

エイリアンたちの日常が表現された一区画。ここにはあえて解説文は置かずに造形のみから想像が膨らむようにしています。



【scean5】

"脱力系"の絵画と"Alien Vision"の漫画のセクションです。



「Alien Vision 書き下ろし漫画シリーズ 1P - 17P」(コピー)
2013年1月〜継続中
※14P - 17Pは下書きで、本展の内容にあわせて新たに描いたもの

エイリアンの視点で描かれた漫画。物語は、宇宙で4体のエイリアンが地球誕生を見ている場面から始まり、生命誕生、アノマロカリスの繁栄、人類誕生、ヴィレンドルフのヴィーナスの創造、関ヶ原の闘い、ガウディのサグラダファミリア建造、核爆弾投下、そして現在へと展開していく。展覧会ごとに物語は少しずつ更新され、様々な謎が明らかになっていく。現在13Pまで完成。
本展では、現在制作された全ページのコピーと原画の一部を展示。14P以降の下書きを先行公開している。
(漫画の支持体は、ホワイトパールで塗装された車のボンネットやアクリル板。その上に全て油絵具の黒で絵筆で描かれている。下書きと書き直しができないため、常に一発描きになる。)



「Alien Vision 書き下ろし漫画シリーズ 13P」<原画>



 「Alien Vision 書き下ろし漫画シリーズ 14P」<下書き>



「Alien Vision 書き下ろし漫画シリーズ 15P」<下書き>



 「Alien Vision 書き下ろし漫画シリーズ 16P」<下書き>



「Alien Vision 書き下ろし漫画シリーズ 17P」<下書き>



紫の星

宇宙からエイリアンが見た地球と人間の大人たちの姿。彼らは惑星に横たわり力が抜けてしまっているようにも見えるため、エイリアンたちは"脱力系"と呼んでいる。
(2010年 キャンバス、油彩 145.5×145.5cm 絵具を垂らしたり、滲ませたり、偶然性を用いた技法で描かれている。"光"の絵画とはあらゆる点で対極にある作品。)



あいまいなスタジアム壱

宇宙からエイリアンが見た地球と人間の大人たちの姿。
サッカーのスタジアムで選手も観客も審判も脱力している。
(2011年 キャンバス、油彩 91×116.7cm)



【scean6】

展覧会場の入場口付近です。陳列ケースに入った「アースボーイ」の立体と「つのぴー」が出迎えてくれます。



Alien Vision 9:Earth Boy:千年スーツ

エイリアンが見た地球を体の一部に宿した少年"Earth Boy"。千年の寿命を得ることができる"千年スーツ"を着用しており、全身が油絵具でできている。
(2014年 FRP、日本色タブロー、Paint × Sculpt、ガンコラ=ガンプラのコラージュ、Oil Sculpture 他 123×46×43cm)



【scean7】


会場の片隅に配置されたケースには、小さなハイハイつのぴーと鉱物が1点置かれています。


Cube

地球(スペイン)で実際に発見された天然の結晶。人が手を加えたのではなく、自然とキューブ型で出てくるという。ネットで偶然発見し購入したもの。そこに油絵具で"海水パンツ"を描いた。空想・妄想から生まれたエイリアンの墓標と同形のものが地球で発掘されている事実に興味を惹かれ、つのぴーと共にケースの中に配置している。





解説は以上です。

通常の個展では、基本的にすべて新作を展示・販売しています。一つの展示に向けて、3ヶ月〜1年くらいの短期的な期間に集中的につくったものでインスタレーションすることになります。一方、今回は6年前〜最新作までの新・旧作を織り交ぜて一つの空間をつくりだしたことで、短期間で制作したある種偏りのある作品群では生み出せない深みと広がりのある展覧会になったと思います。


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後編は後日またアップします。
この展覧会で実際に起きたこと、お客さんとの質疑応答の様子、自分の感想などを書いていきます。